現場が挫折するプロジェクト管理ツールとは?

プロジェクト管理 02 インタビュー

現場が挫折する
プロジェクト管理ツールとは?

プロジェクト管理ツールをせっかく導入してもプロジェクトの現場が使えなければ意味がありません。今回は現場が挫折するプロジェクト管理ツールにはどのような特徴があるのか、どうしたら挫折せずに活用しつづけられるのか、TimeTracker NXの企画・開発・改善を推進する栗山氏に聞きました。

【インタビュー】 栗山 順次  デンソークリエイト イオタ推進部

ツール選定のポイントは、
現場にとって嬉しいツールであるかどうか。

−−−様々なプロジェクト管理ツールがありますが、選定する上でポイントはありますか?

栗山プロジェクト管理ツールを選ぶ際、機能面に気を取られがちですが、ツールの導入のきっかけや目的といった導入側の意思にマッチした製品であるかどうかを見極めることもポイントだと思います。また、挫折しないためには現場が使い続けられることが大切です。現場にとって嬉しいツールであるかどうかは重要なポイントですね。

−−−では、現場が嬉しくないプロジェクト管理ツールにはどんな特徴がありますか?

一般的に現場が嬉しくなく、挫折するプロジェクト管理ツールには次のような問題が挙げられます。

  • インターフェースが使いにくく、現場が面倒と感じる。
  • 機能がたくさんありすぎて、わかりづらい、手間が多い。
  • データを入力しても、嬉しいのは上司や運用部門で現場ではない。
  • データの精度が悪く、改善や可視化に使えない。
  • Excelなどへのエクスポート機能が無く、データの2次活用ができない。

機能よりも「使いやすさ」がプロジェクト管理ツールの出発点。

−−−真っ先にインターフェースを挙げていますね。

栗山そうですね、プロジェクト管理ツールを選定する上で一番のポイントは「使いやすさ」だと思っていますから。
現場にとって使いやすいものであるかを考慮せずにトップダウンで「使え」と言えば、どのようなツールであっても最初は使うものですが、何年も使い続けられるようになるかというと違うはずです。「使いやすさ」「継続性」というのは、機能面よりも軽視されがちですが、機能よりもとても大切な事であり、プロジェクト管理ツールの出発点となるべきだと思います。

使いづらいツールでは、データの精度が下がり改善活動に繋がらない。

−−−インターフェースが使いにくいと、「継続できない」以外にどんな問題が起きますか?

栗山やはり使いにくいと、そこに「やらされ感」も生まれますし、計画や実績データの精度・更新頻度も自然と落ちます。そうなると、現場が活用して仕事の質が向上するような改善に使えるデータが得られません。それでは現場が本当に嬉しい道具とは言えないと思います。
よくお客様から、「実は会社でXXツールが標準になっているんだけど、使いにくいから別のツールを探しているんだよ」というのも耳にします。現場が本当に納得できる道具でなければ、せっかくプロジェクト管理ツールを導入しても期待したような結果・効果は生まれません。それは会社が望むところでは無いはずです。

機能だけがたくさんあっても仕方がない。

−−−次に「機能がたくさんあり過ぎてわかりづらい」という特徴が挙がっていますが、
たくさん機能があるのは良いことなのでは?

栗山プロジェクト管理ツールを使い始めると、やはり「ああしたい」、「こうしたい」と欲がでますから、機能がたくさんあるに越したことはないと思いがちですが、機能だけがたくさんあっても仕方がないと思います。
長い歴史をもつツールでは、進捗率だけでも入力欄が数種類あり、一見何を入力して良いかわからなかったりします。
また、そのツールでは正しい動作なのかもしれませんが、タスクを移動しようとしたら予想外の場所に移動してしまうといったこともあります。
他にも他社製品にあるから、要望があるからと機能的に満足するということだけを主眼において機能を追加したために、ゴチャゴチャしてわかりづらくなってしまっているものもあると思います。
それらはそのプロジェクト管理ツールのマニュアルなどをよく読み、考え方を理解すれば良いのかもしれませんが、そこまで必要としていないユーザにとっては全く困った機能です。

TimeTracker NXの機能は「現場志向」で厳選。

−−−では、TimeTracker NXは機能が少ないんですか?

栗山いえ、決して機能は少なくありません。しかし、常に厳選した機能を搭載しています。
機能追加についてはTimeTracker NXにもお客様から多数の要望が寄せられます。お客様の声ですし、できればそれらをすべて実現したいと思う気持ちもあります。しかしながら、「機能だけたくさんあるようなプロジェクト管理ツールでは本来のTimeTracker NXらしさを失ってしまうのではないか」と、いつも議論になります。
機能を追加するにしても、「現場にとって使いやすい・嬉しい」という現場志向は忘れず、TimeTracker NXならではのアプローチを取り入れることを心がけています。

結局データを入力するのは現場。
現場が喜ぶ道具立てが大切。

−−−「嬉しいのは上司や運用部門」というツールではやはり挫折しますか?

栗山これはツールというよりも、ツールの導入の仕方・目的の話になると思います。導入の目的は、「プロジェクトの納期遅れを減らす」「プロジェクト毎のコストオーバーを早期に発見する」「要員の負荷状況を見える化する」など様々ですが、どのような目的においても大事なことは、まず、「プロジェクト管理ツールは、プロジェクトの現場が使って嬉しい道具であるべきだ」ということです。もちろん、経営的な視点や上司や運用部門のための機能は必要です。しかし、結局データを入力するのはプロジェクトの現場であり、各個人ですから、その現場が喜ぶような道具立てが大切になります。
プロジェクト管理ツールの導入で苦い経験をした方はお分かりかもしれませんが、上司や運用部門だけが嬉しいような使い方をしてしまった場合、現場には必ず抵抗感が生まれます。そして、それが「失敗に終わる」「形骸化する」という結果を招いてしまうのだと思います。

毎日全員が使い続けられる継続性がTimeTracker NXらしさ。

−−−最後に、TimeTracker NXの開発では、現場が挫折しないためにどんなことにこだわっていますか?

栗山TimeTracker NXには「始められる」「続けられる」というコンセプトがあります。簡単に始められるわかりやすいインターフェースと、毎日全員が使い続けられる継続性が、このツールらしさだと思います。
我々はTimeTracker NXを使い続けてもらうことを、開発・営業・サポートともに重要視して取り組んでいます。買っていただくのは一回かもしれませんが、その後、本当に毎日使っていただいているか、活用度合いは高まっているかを大事にしたいと思っています。

TimeTracker NXは、現場が自らの改善に使いたくなる機能が充実。

栗山また、TimeTracker NXは、プロジェクトと個人単位の両方で、現場が自らデータを使い、改善に役立てるという考え方の機能が充実しています。
例えば、プロジェクトの工程別の工数比率などを簡単な操作で集計・グラフ化できるクイックレポートという機能があります。この機能を使えば、次回の見積もりに過去データとして活用できるようになりますし、コストオーバーなどの問題があった場合の振り返り・改善にも活用できます。また、個人単位では、工数入力する画面に自身の工数の使い方を簡単にレポートする機能も搭載しています。プロジェクト別にどれだけ工数を使っているのか、計画のタスクに対して工数が投入できているか、作業と修正の工数の比率はどうかなど、用途にあわせて自在にカスタマイズできます。

このように、TimeTracker NXは現場が進んで自らの改善に使いたくなる機能を備えているので、自然とデータの精度は高くなり、途中で利用を挫折するということも無い仕組みになっています。