デンソークリエイトの改善活動

デンソークリエイトでは、長年にわたりソフトウェア開発の現場における改善活動に取り組んでいます。ここでは、その成果についてご紹介します。

改善活動とツールへの反映

現場での改善活動の成果は製品開発に随時反映され、「現場のためのツール」という性格がバージョンアップのたびに強くなってきています。

工数管理

改善のための基礎データとして、
正確な工数を収集

デンソークリエイトのソフトウェア開発の現場において品質や生産性を高める改善活動が本格化し、まずは現状を把握するために正確な工数データを集めることから着手しました。しかし、表計算ソフトや使い勝手の悪いツールで作業時間を申告させる方式では、工数を正確かつタイムリーに集計できないことを経験。そこで、自社ツールを改訂し、より操作性を高めた工数管理システムTimeTrackerを開発しました。

プロジェクト管理

計画・進捗管理の改善+
工数の分析による改善促進

TimeTrackerの初期バージョンでのプロジェクト管理機能は、最初から詳細な計画を立てなければならない方式で、大まかな計画を徐々に詳細化していくという現場のやり方に合わないものでした。そこで、現場の計画の立て方に着目し、大まかでも詳細でも柔軟に計画が立てられるしくみ(FX-WBS:Flexible WBS)を考案。現場が計画時によく使用していたExcelの特徴(操作性・見積計算など)や、工数を使った集計・分析がより簡単になるしくみも取り入れた「TimeTracker FX」を開発しました。

Excel連携

ツール利用の定着と、定量的な進捗報告

「TimeTracker FX」は、見積もりからスケジューリング・進捗管理までカバーする社内標準プロジェクト管理ツールになりつつありました。 一方で、現場では報告書をExcelで書くことが多く、その帳票を見てみるとよく工夫されており、Excelでの進捗報告は現場にとってやはり必須であることが分かりました。Excelの報告書にTimeTracker FXのデータを転記する作業は手間がかかるため、TimeTracker FXを使わなくなってしまうケースもありました。そこで、「TimeTracker FXがExcelと簡単に連携することでお互いの良さを活かす」という方針に切り替え、「Excel連携アドイン」という新機能を開発。Excelの報告書とTimeTracker FXが簡単に同期できるようになりました。

見える化

工数による見える化と、現場主体の改善推進

作業時間の分析や見える化は、Excelに出力して手作業で加工するなど手間のかかる作業です。データは集まるけれども、分析や改善活動までたどり着かないケースが見られました。また、改善の推進部門や担当がレポートを作ったとしても、それは与えられたものであり、現場の自主的な改善活動の推進にはつながりません。そこで、誰でも簡単に工数による見える化・改善活動を始めやすくするため、「思ったときに手間なくすぐに見える化」をコンセプトに、「クイックレポート」機能を搭載。これにより、データをExcelなどに出力する必要もなくなり、個人の工数の振り返りや、プロジェクトの工程別の工数比率のような分析やレポート作成などにかかっていた負荷が大幅に軽減されました。

計画の「見せる化」

計画を自然に意識し、
更新する業務スタイルの定着

業務の「見える化」により、現場の改善活動もより活発になりました。しかし、スケジュールを確認するにはプロジェクトの管理画面を開く必要があり、その手間から計画を頻繁に見ないメンバが多く、計画に対する意識が弱い状況でした。また、それが計画の精度が低下し、計画との乖離が拡大するという結果につながっていました。そこで、「誰もが計画を意識して工数入力ができる。計画をより近く、手軽に」をコンセプトに、個人の工数入力画面に自分専用のガントチャートを表示する機能を搭載。メンバーが日々行う工数入力の場面で計画を「見せる化」しました。誰でも自然と計画を意識して仕事できるようになることを目指しました。マネージャーやリーダーだけでなく、メンバー全員が計画を確認するようになれば、計画の更新頻度や精度も自然と向上していくはずです。

定着支援

現場での工数入力の定着促進

工数管理ツール導入の初期段階では、「工数入力の文化が無く、全員に浸透しない」「入力が続かない」など、必ずと言っていいほど工数入力の定着に悩むことになります。また、集めたデータの精度の低さも課題の一つです。例えば、ある日の一日の実績工数を一週間後にまとめて入力したとします。一週間も経ってしまうと内容もかかった時間も忘れてしまっているため、思い出しながら入力することになります。そのようなまとめ入れでは入力データの精度が低下し、改善に使える正しいデータになりません。工数による改善活動を促進するためには、「工数のまとめ入れ」を少しずつ解消し、その日の工数はその日に入力するように風土を醸成する必要があります。
「定着モニタ」は、「誰もが毎日工数を入力できる。工数入力が定着する。」をコンセプトとして、高精度な工数入力の風土醸成を支援するために搭載された仕組みです。各メンバーの工数入力状況が見える化され、自然に日々の工数入力忘れ防止やタイムリーな工数入力が促進されます。

TimeTracker NX へ

Webアプリケーションへの移行、クラウド環境への移行という世の中の趨勢を反映し、Webアプリケーションへのニーズは高まるばかりでした。さらに、目まぐるしく変動する情勢に対応するため、業務スピード向上の必要性は日々高まり続けています。
このような環境で現場の業務改善をより強力に支援するために、最新バージョン「TimeTracker NX」が生まれました。Webアプリケーションだから、各PCへのインストールの手間なくすぐに使い始めることができます。
Webアプリケーションの特性を活かして、プロジェクトの変更内容はすぐに共有されます。メンバーの報告内容もリアルタイムで共有。時代の要請に応えるコラボレーションの仕組みをを実現しました。
さらに、従来は完全に画面が分かれていた工数入力とプロジェクト編集も、画面を切り替えることなくシームレスに実施可能。工数入力画面でタスクの追加や更新を行ったり、プロジェクト管理画面上で直接工数を入力したりと、ストレスなく操作できるようになりました。より本質的な活動に集中できるので、成果の向上につながります。

改善活動の社外発表

デンソークリエイトの開発現場における改善活動の成果はシンポジウム等の場において随時発表され、評価されています。

2017 -

ソフトウェア品質シンポジウム 2017 (SQiP 2017)

「統合テストにおいて影響範囲に対するテスト漏れを防止する『影響波及パス分析法』の提案」というテーマのデンソークリエイトによる発表が、内容の優れた経験論文に対して贈られる賞である「SQiP Best Paper Effective Award」を受賞しました。

2015 -

JISA Digital Masters Forum 2015 (JDMF 2015)

工数計測をベースにした進捗管理改善の発表で、ベストプラクティス賞を受賞しました。発表は「工数から見える事実と仕事ぶりに基づいた進捗管理」というテーマで、工数計測をベースとした進捗管理の改善、そしてそれを現場に定着させる工夫について紹介しました。デンソークリエイトは20年以上の長きに渡り工数計測と現場の改善活動を継続して行っております。その強みを活かして工夫した改善の取り組みを評価していただきました。

2013 -

ソフトウェア プロセス エンジニアリング シンポジウム 2013 (SPES 2013)

デンソークリエイトの発表が特別賞を受賞しました。「ピア・レビューと履行検証に着目した若手技術者の育成~業務の中で自然に学ぶ方式~」というタイトルで、エンジニアリングプロセスの自己履行検証とピア・レビューを有機的に関連付け、若手技術者が業務を通じて積極的にスキルを伸ばしていくための仕組みと取り組みについて発表しました。