TimeTracker NX での変化点
概要
TimeTracker NXは、TimeTracker FXのメジャーバージョンアップ版です。このページでは、TimeTracker FXからTimeTracker NXへの変化点や新規点、使いやすくなった点について紹介します。本ページの構成は以下のとおりです。
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主な特徴
- インストール不要、Webですぐに使える
- デスクトップ版を超える軽快で使いやすいインターフェース
- 工数入力とプロジェクト編集を融合
- ガントチャートをリアルタイムに共同編集
- プロジェクト内コラボレーションの促進
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主な新機能・改善点
- WBSをシンプルに保ちつつ工数集計を細分化
- タイムシートの使い勝手向上
- より高精度な工数・コスト管理
- プロファイルを活用して簡単にプロジェクトを作成
- ステータスでシンプルに進捗管理
- アイテムタイプでより管理しやすく
- ToDoリストで漏れなく管理(チェックアイテム)
- 自分の担当タスクを優先度順に一覧化(マイページ)
- 要注意タスクを素早く確認(クイックウォッチ)
- 過去のイナズマ線をいつでも確認
- クリティカルパスで重要タスクを識別
- タスクや工数の状況をモニタリング
- 複数プロジェクトのガントチャートを全タスク並べて表示
- きめ細かなセキュリティ管理
- Markdown記法による多彩なアイテム情報の記載
- 添付ファイルの管理
1. 主な特長
1-1. インストール不要、Webですぐに使える
TimeTracker NXは、Webアプリケーションとして刷新されました。PCへのインストールは不要です。PCへのインストール権限の問題でなかなかスムーズに進まなかったバージョンアップ時の問題も、今後はなくなります。サーバー環境が構築されれば、ブラウザ上ですぐに使い始めることができます。
1-2. デスクトップ版を超える軽快で使いやすいインターフェース
TimeTracker NXは、Webアプリケーションでありながら従来のデスクトップ版以上の軽快さと使いやすさを実現しました。1万タスクを超えるような大規模なプロジェクトも、瞬時に開いて操作できます。Webアプリといえば操作性が犠牲になってしまっているツールも散見されますが、TimeTracker NXではデスクトップ版と同様に、ガントチャート上でのドラッグ&ドロップでプロジェクト計画の編集を実現しています。
1-3. 工数入力とプロジェクト編集を融合
これまでは工数入力画面とプロジェクト管理画面が完全に分かれていて、例えば工数を入力するユーザーはあまりプロジェクトの機能をほとんど使用しない、というケースも耳にしていました。
TimeTracker NXでは、工数入力とプロジェクト編集を融合し、シームレスに活用できるようになりました。工数入力画面上でタスクを追加したりタスク情報を更新したり、また、タスクへの担当者(リソース)割り当てもできます。工数入力をしていてタスクの編集が必要になったとしても、わざわざ別画面を開きなおすことなく、同一画面上でスムーズに作業が進められます。
プロジェクト管理画面上でも、WBS上のタスクをドラッグするだけで直接工数入力ができるようになりました。同一画面上でできることが増え、作業のストレスを感じません。
1-4. ガントチャートをリアルタイムに共同編集
これまでのTimeTracker FXでは、プロジェクトの中の重複しない範囲のみ複数メンバーによる同時編集が可能でした。また、部分編集時にはプロジェクト全体の表示ができないといった制約がありました。
TimeTracker NXでは、このような制約が一切なくなります。常にプロジェクトの全体像を確認しながら、他メンバーの編集状況を気にすることなく必要に応じてWBSが更新できます。しかも、他メンバーが更新した内容は自分のプロジェクト画面に即座に反映されます。同一のプロジェクトファイルを皆で一緒に編集しているような感覚です。
1-5. プロジェクト内コラボレーションの促進
タスクに対するメンバーのコメント機能も、飛躍的に進化しました。各メンバーが報告した内容は、プロジェクト管理画面上ですぐに確認できます。さらに、それぞれのコメント内容が時系列で表示されます。複数回のコメント記録にも対応。まるでチャットツールのような感覚で使えます。担当タスクの重要な更新内容もプッシュで通知されます。プロジェクト内のコラボレーションツールとしても、TimeTracker NXが活用できます。
2. 主な新機能・改善点
TimeTracker NXでは、これまでユーザーの皆様からいただいた数多くのご要望を実現しました。ここでは、主な新機能や改善点についてご紹介します。
2-1. WBSをシンプルに保ちつつ工数集計を細分化
これまでは、「仕様設計」「詳細設計」「実装」などの工程や「レビュー」や「手戻り」などの作業の種類に応じて細かく工数を分析するためには、それぞれタスクを分割してプロジェクトのWBSを作成する必要がありました。この場合、タスクの数が膨大になり管理が煩雑になってしまうという課題がありました。
この課題を解消するため、TimeTracker NXでは、WBSをシンプルに(タスク数をいたずらに増やさず)、しかも集計・分析は細かく行うためのしくみを用意しました。それが「工程分類」と「作業分類」です。工数入力時に追加でこれらの属性を指定することで、タスクとしては1つでも、「仕様設計」「詳細設計」などの工程を区別し、あるいは「レビュー」「手戻り」などの作業を区別して工数を管理することができます。例えば、「○○機能」「△△プログラム」といった進捗管理すべき単位でタスクを用意するだけで、工数を分析する際に工程や作業種別といった細かな粒度で分析できます。
2-2. タイムシートの使い勝手向上
これまでのTimeTracker FXでも、ワークアイテムツリーからのドラッグ&ドロップによる直感的な操作で手軽に実績入力ができました。TimeTracker NXでもドラッグ&ドロップで実績入力ができるのはもちろん、さらにタイムシートが使いやすくなっています。例えば以下のような操作が可能になりました。
- ワークアイテムツリーでよく使うプロジェクトを上部に表示する
- キーボードのショートカットキーを使用して、既に入力済みの実績をコピー(Ctrl+C)&ペースト(Ctrl+V)する
- ワークアイテムツリーのプロジェクトに対し、表示・非表示を切り替えて見やすくする
2-3. より高精度な工数・コスト管理
メンバーの所属組織別に工数を集計したり、あるいはメンバーのコスト単価に基づきコストを算出して管理することがこれまで可能でした。ただ、これでは変更があった場合(組織の異動や昇進による単価アップなど)、その前の工数やコストも変更後の組織や単価でしか計算されなかったため、現実に沿ったものにならないという課題がありました。
そこで、TimeTracker NXでは所属組織やコスト単価の変更履歴を管理できるようになりました。これにより、その時点での所属組織・コスト単価に基づいて工数やコストの集計が行われます。実際の状況に応じた、より高精度な工数・コスト管理に対応します。
2-4. プロファイルを活用して簡単にプロジェクトを作成 [Standard Editionでは一部制限あり]
TimeTracker NXではプロジェクトを簡単に作成できるよう、プロジェクト作成時に必要な各種設定をプロファイルとして事前に定義することができます。プロジェクト作成時には適用するプロファイルを選択するだけで、簡単に設定ができます。もちろんプロファイルは複数準備することができるので、プロセスに合わせて準備したり、部署ごとに定義して準備することが可能です。
また、プロジェクト作成後にプロファイルの設定を変更した場合にも、プロファイルを継承しておくことで作成済みのプロジェクトに対して反映することも可能です。
2-5. ステータスでシンプルに進捗管理 [Standard Editionでは一部制限あり]
これまでのTimeTracker FXによる進捗管理では、進捗率(数値)による管理が基本でした。TimeTracker NXでもその点は共通ですが、加えて「未完了」「作業中」「完了」といったステータスの文字列により進捗管理ができるようになりました。数値だけでは具体的な状況が分かりにくいこともありますが、ステータスなら明確です。ステータスと進捗率は相互に関連付けられるので、ステータスでシンプルに進捗管理ができます。
2-6. アイテムタイプを任意に追加 [Professional Editionのみ]
これまでのTimeTracker FXで実績入力できるのは「タスク」のみでした。TimeTracker NXでは今までの「タスク」に加え、任意のアイテム種別を追加して実績入力ができるようになりました。例えば「要求」や「不具合」といった種別を追加して管理することが可能です。また、使用するフィールドをアイテムタイプごとにカスタマイズすることも可能です。それぞれのタイプに最適化したフィールド構成でプロジェクトが運用できます。
2-7. ToDoリストで漏れなく管理(チェックアイテム)
これまでは、作業管理の基本単位はあくまでWBSのタスクであり、この単位で工数管理が可能でした。ただ、工数を区別して管理するほどではないけれども作業項目として漏れなく管理したいような作業も存在します。そのような作業をToDoリストのように管理するためのしくみとしてチェックアイテムが搭載されました。各タスクに作業項目を登録し、完了したらチェックするだけのシンプルな管理です。チェックアイテムの消化状況はタスクの進捗率に反映されるので、タスクの進捗管理にも活用できます。
チェックアイテムは、各メンバーの工数入力画面上からも追加・更新可能です。必要な時に追加し、進捗が報告できます。
2-8. 自分の担当タスクを優先度順に一覧化(マイページ)
TimeTracker NXは、個人の作業管理においても威力を発揮します。複数のプロジェクトを同時に担当していると、自分が抱えているタスクについて、どれが優先すべきものか、どこに問題があるのか分かりにくいものです。そこで、自分がリーダーとして担当しているタスクについて、プロジェクト横断で一覧表として確認できる「マイページ」を用意しました。例えば、遅れの大きい順に並べれば、早急に手を打つべきタスクが分かります。自分だけでなく他のメンバーのタスク状況も同様に確認できるので、部下のフォローなどにも活用できます。
2-9. 要注意タスクを素早く確認(クイックウォッチ) [Professional Editionのみ]
プロジェクト管理画面では、これまでは基本的にWBSにより、末端タスクの進捗情報を上位階層に積み上げることで、プロジェクト全体の進捗を確認しました。これに対しクイックウォッチを使うと、末端タスクに対して遅れの大きいものを検出し、問題の発生しているタスクが直接確認できます。
「遅れ日数の大きい順」や「期日の近い順」などで末端タスクを一覧表示できるので、プロジェクト全体の進捗を俯瞰しつつ、リスクの高いタスクを具体的に特定できます。プロジェクト内のタスク管理をサポートするしくみです。
2-10. 過去のイナズマ線をいつでも確認 [Standard Editionでは一部制限あり]
プロジェクト進捗状況を確認したい場合、ガントチャート上のイナズマ線は大変便利なしくみです。これまではユーザーにより明示的に保存することで、過去の時点のものを含め複数のイナズマ線を表示することができました。
TimeTracker NXでは、そのような手作業から解放されます。プロジェクトを更新したタイミングで、イナズマ線の情報も自動的に保存されます。日単位でイナズマ線が比較できるので、進捗状況の変化にも気が付きます。
2-11. クリティカルパスで重要タスクを識別
クリティカルパスとは、進捗の遅れがプロジェクトの遅れに直結する重要な一連のタスクを示すパスです。これまではクリティカルパスの表示に非対応でしたが、かねてよりいただいていたご要望にようやく応えることができました。タスク間のスケジュールの依存関係(リンク)をあらかじめ設定しておけば、ボタン1つでガントチャート上にクリティカルパスが表示できます。
2-12. タスクや工数の状況をモニタリング
手軽に各種情報がモニタリングできるダッシュボードが、TimeTracker NXで刷新されました。タスクや工数の情報について、サマリや時系列の推移のデータが確認できる各種ウィジェットを用意しています。工数分析のための新しいしくみである「工程分類」「作業分類」に基づいた集計にも対応しています。また、ダッシュボードと同様のモニタリングがプロジェクト管理画面でも確認できる「アイテムレポート」も搭載されています。アイテムレポートでは、プロジェクトの選択したフォルダだけを集計できるので、必要に応じたすばやいチェックが可能です。
2-13. 複数プロジェクトのガントチャートを全タスク並べて表示
複数プロジェクトのガントチャート表示がますます便利になりました。これまではプロジェクトの中で「公開」のフラグを設定したタスクのみ表示されていましたが、TimeTracker NXではそのような設定はまったく不要です。任意のプロジェクトを指定して、ガントチャートを並べて表示できます。
ガントチャート上でプロジェクトの末端のタスクまで確認できるから、プロジェクト状況の確認はこの画面だけで完結します。プロジェクトは任意にグループ化できるので、管理対象のプロジェクトが多くなっても整理して管理できます。
2-14. きめ細かなセキュリティ管理
昨今ニーズの高まっているセキュリティ面についても、TimeTracker NXでは強化されています。従来は、ユーザーごとに使用可能な機能が指定できるものの、アクセス可能なデータの範囲は一律の設定でした。TimeTracker NXでは、機能ごとにアクセス可能なデータの範囲が指定できるようになりました。「所属する組織の単位でプロジェクト閲覧可能」「プロジェクトの編集はプロジェクトごとに個別に設定」「さらにワークアイテム単位でも個別に編集・閲覧権限を設定」というような、きめ細かいセキュリティのニーズに対応します。
2-15. Markdown記法による多彩なアイテム情報の記載
Markdown形式により見出し、表、図を表現できるようになりました。従来はテキスト形式のみでしたが、プロジェクトメンバとの情報共有がより簡単、確実になります。
専用エディタで確認しながら文書を作成することもできます。
2-16. 添付ファイルの管理
ワークアイテムにファイルを添付できるようなりました。不具合現象のキャプチャなどを添付ファイルとしたワークアイテムを作成し、不具合の分析から解消まで管理するなどといった場面で活用できます。