ピボット分析で工数やコストを自在に集計する
概要
ピボット分析は、プロジェクトや組織を横断して工数やコストを集計することができます。集計する軸を自由に設定し、分析するデータを簡単に表示することができます。さらに、プロジェクトを軸としたメンバーごとの工数集計から、プロジェクトとメンバーを入れ替えてメンバーを軸としたプロジェクトごとの工数集計に切り替えるなどの変更も即座にでき、視点を自在に変えながら分析することもできます。
月別に組織内のメンバーごとの工数やコストの予実を分析したり、メンバーのプロジェクトごとの内訳を掘り下げて分析したりするのに便利です。設定した内容は毎回設定する必要はなく、いつでも同じ集計方法で工数やコストが集計できます。
Note
Standard Editionでは、本機能は利用できません。
例えば、プロジェクトごとに計画コストと実績コストをExcelのような表形式で並べて表示することで、プロジェクトごとの採算を簡単に確認することができます。下図は、プロジェクトごとに毎月の計画コストと実績コストを表示した例です。
ピボット分析について、以下を説明します。
No. | タイトル | 説明 |
---|---|---|
1 | ピボット分析の使い方 | ピボット分析の基本的な使い方を紹介します。 |
2 | ピボット分析画面を表示するには | ピボット分析を表示するまでの手順を案内します。 |
3 | 工数やコストを自在に集計する | 対象データや集計条件(ビュー)を作成します。 |
4 | 集計した結果をエクスポートする | 集計した結果をExcel形式でファイルに出力します。 |
5 | ビューをグループ化して整理する | ビューを整理して使いやすくします。 |
6 | ビューやグループを削除する | 不要になったビューやグループを削除します。 |
7 | ビューの共通操作 | 期間を変更するなどの共通の操作を案内します。 |
8 | フォルダで集計する場合の注意点 | ピボット分析では、フォルダ(パッケージ)単位で集計することが可能です。フォルダ単位で集計するにあたってWBSの作り方について注意すべき点を説明します。 |
ピボット分析の使い方
集計したデータはExcelのように表形式で表示され、行や列にプロジェクトやアカウント、年・月などを集計軸として自在に行や列に設定できます。行や列の設定を変更することで、簡単に表示内容を変更することができます。
ピボット分析画面の構成は下図のとおりです。
:ピボット分析で利用可能なフィ-ルドの一覧です。
:集計するフィールドを設定する箇所です。
:集計軸の行にフィールドを設定する箇所です。
:集計軸の列にフィールドを設定する箇所です。
:行に設定したフィールド(
)のデータを表示します。
:列に設定したフィールド(
)のデータを表示します。
:集計したフィールド(
)のデータを表示します。
各箇所にフィールドを設定する場合は、対象のフィールドをドラッグ&ドロップで移動します。各箇所に設定したフィールドを取り除く場合は、対象フィールドを[すべてのフィールド]にドラッグ&ドロップで移動させてください。
下図では[行]に「ユーザー」、[列]に「月」、[値]に「実績工数」を設定し、ユーザーごとの実績工数を月単位で表示しています。
ドラッグ操作だけで負荷なく[行]に「プロジェクト」、[値]に「実績コスト」を設定し直し、簡単にプロジェクトごとの実績コストの集計に変更できます。
[行]に「プロジェクト」と「ユーザー」を設定することで、階層化して集計することができます。
集計する対象データや集計軸などの設定内容は、ビューとして保存されます。ビューは複数作成することができ、保存することでいつでも簡単に同じ集計方法で簡単に切り替えて閲覧することができます。また、作成したビューは分析する内容などに合わせてグループ分けすることで、使いやすくカスタマイズできます。
ビューの選択を切り替えることで、いつでも簡単に目的の集計データを表示することができます。
[工数集計]グループに「アカウントごと」と「プロジェクトごと」のビューを設定して整理します。
ピボット分析画面を表示するには
ピボット分析を利用するには、以下の手順でピボット分析画面を表示します。
-
グローバルナビの[分析]をクリックする。
-
ローカルナビの[ピボット]をクリックする。
工数やコストを自在に集計する
集計する対象のデータや集計条件をビューに設定することで、工数やコストの集計データを画面上に表形式で表示します。集計の軸は自由に入れ替えができ、変更した軸で即座に再集計されるので、視点を自由に変更しながら分析できます。ビューは複数作成でき、いつでも簡単に切り替えて閲覧することができます。
ビューを作成する
ピボット分析を初めて利用する際のビューの作成手順は、以下のとおりです。
-
画面左側のツールバーの[ビュー追加]アイコンをクリックする。
-
[ピボットビューの設定]ダイアログの[基本情報]タブで[名前]を入力する。
-
[ピボットビューの設定]ダイアログの[対象データ]タブをクリックする。
- [フィルタ対象]で集計する対象データの種類をリストから選択する。
-
[追加]アイコンで対象データを追加する。
-
[ピボットビューの設定]ダイアログの[表示フィールド]タブをクリックする。
-
利用するフィールドをチェックする。
-
[ピボットビューの設定]ダイアログの[OK]ボタンをクリックする。
作成されたばかりのビューの初期状態は、以下のとおりです。- 行:プロジェクト
- 列:年、月
- 値:実績工数
- 期間:今月と来月の2か月分
行・列にフィールドを設定する
作成したビューの集計軸を変更するには、集計データを表示する一覧表の行と列に設定されているフィールドを変更します。行や列にフィールドを複数設定することで集計軸を階層化することができます。
行と列のフィールドを変更するには、[すべてのフィールド][行][列]に設定されている対象フィールドをドラッグ&ドロップして、[行][列]に移動します。設定したフィールドを取り除く場合は、対象フィールドを[すべてのフィールド]にドラッグ&ドロップで移動します。
概要の例のようにプロジェクトのユーザーごとに計画コストと実績コストを月で集計するような場合は、以下のように設定します。
- 行:プロジェクト、ユーザー
- 列:年、月
集計データを設定する
作成したビューの集計するフィールドを変更するには、集計データを表示する一覧表の値に設定されているフィールドを変更します。
値のフィールドを設定するには、[すべてのフィールド]に表示されるフィールドから対象とするフィールドをドラッグ&ドロップして、[値]に移動します。値のフィールドに複数のフィールドを設定すれば、例えば計画と実績や工数とコストなど、複数の集計データを並べて表示することができます。概要の例のように計画コストと実績コストを集計するような場合は、以下のように設定します。
- 値:計画コスト、実績コスト
利用できるフィールド
ピボット分析で利用できるフィールドは以下のとおりです。
Note
利用するフィールドの設定方法は 使用するフィールドを変更する をご参照ください。
行・列に指定可能なフィールド
No. | フィールド |
---|---|
1 | プロジェクト |
2 | フォルダ(パッケージ)* |
3 | フォルダ1~フォルダ16 |
4 | 組織 |
5 | ユーザー |
6 | 年 |
7 | 月 |
8 | 週 |
9 | 日 |
10 | 工程分類 |
11 | 作業分類 |
12 | 工程分類グループ |
13 | 作業分類グループ |
14 | アイテムタイプ |
15 | プロジェクトカテゴリ |
Note
[フォルダ]フィールドは旧バージョンとの互換性のために存在します。[フォルダ1]~[フォルダ16]に変更すると、階層構造を表示できます。
プロジェクトカテゴリは、TimeTracker NX 4.2以降で利用可能です。
データの集計対象に指定可能なフィールド
No. | フィールド |
---|---|
1 | 計画工数 |
2 | 計画コスト |
3 | 実績工数 |
4 | 実績コスト |
アイテムを階層構造で表示する
Note
TimeTracker NX 4.2以降で利用可能です。
行または列に設定したアイテムの階層構造を再現することで、集計した工数やコストの内訳を確認することができます。階層はパッケージ(フォルダとして定義されたアイテム)を対象に表示でき、[フォルダ1]~[フォルダ16]フィールドを利用することで、アイテムの階層構造を表示することができます。
設定内容
- 行:プロジェクト、フォルダ1、フォルダ2
- 列:月
- 値:実績工数
Note
実際の階層よりも深い階層まで表示した場合、存在しない階層は「-」と表示されます。
プロジェクトカテゴリを活用してプロジェクト横断で集計する
Note
TimeTracker NX 4.2以降で利用可能です。
プロジェクトカテゴリを集計軸として設定すると、プロジェクトを分類して集計することができます。複数のプロジェクトをまとめる概念として「業務分野」や「顧客」等があります。これらの軸で集計することで、プロジェクト単体では見えづらかった状況が手軽に確認できます。
設定内容
- 行:業務種別(プロジェクトカテゴリ)、プロジェクト
- 列:月
- 値:実績工数
行や列を設定後に表示内容を更新する
行や列のフィールドを変更する場合に表示内容を自動で更新するか、行や列を設定した後で表示内容を更新するかを設定することができます。表示内容を後から更新するとした場合、行や列を変更するたびに更新されることが防止でき、まとめて設定する際の操作性が向上します。
表示内容を後から更新するには、[行列変更時に自動で更新]のチェックを外します。行や列を設定し直した後に、[更新]ボタンにより表示内容を更新します。既定では[行列変更時に自動で更新]はチェックされており、行や列を変更するたびに自動で更新されます。
集計した結果をエクスポートする
ピボット分析で集計した工数やコストの情報をExcel形式でファイルに出力できます。出力した内容を加工して資料を作成したり、印刷したりするのに便利です。
操作手順
- エクスポートするビューを表示する。
-
[Excel形式でエクスポート]アイコンをクリックする。
-
[Excel形式でエクスポート]ダイアログで[実行]ボタンをクリックする。
ビューをグループ化して整理する
作成したビューは、業務内容などに合わせてグループ分けをすることで整理され、利用するビューを見つけやすくすることができます。
操作手順
-
画面左側のツールバーの[グループ追加]アイコンをクリックする。
-
追加されたグループに新しい名前を入力する。
- 対象のビューをドラッグ&ドロップでグループに移動する。
作成したグループを選択して、[ビュー追加]アイコンをクリックすることで、グループの中にビューを作成することもできます。
ビューやグループを削除する
不要になったグループやビューは削除することができます。削除する手順は以下のとおりです。
- 対象のグループ、ビューを選択する。
- 画面左側のツールバーの[削除]アイコンをクリックする。
Note
グループを削除するとその中に存在するビューも削除されます。
ビューの共通操作
各ビューでの共通の操作を以下に紹介します。
対象期間を変更する
集計する対象期間は、任意に変更することができます。クイック設定では、前後1ヵ月など決まった期間で簡単に期間を変更することができます。[クイック設定]をクリックして、対象の期間をリストから選択します。
期間は任意に設定することもできます。期間の開始日と終了日に直接入力するか、[開始日]アイコンや[終了日]アイコンをクリックして、カレンダーから対象日を選択します。
列と行をすべて展開する
行や列の折り畳まれた表示は[折り畳み]の[すべて展開]をクリックすれば、まとめて展開されます。行や列のフィールドを変更すると変更した箇所は折り畳まれた状態となるので、この操作で簡単に展開された状態にできます。
[すべて折り畳み]をクリックすると、展開された状態をすべて折りたたんだ状態にします。
列や行のそれぞれの合計を表示する
行や列に設定したフィールドの内容ごとに総計を表示することができます。行や列に複数のフィールドを設定した場合は、小計を表示することも可能です。小計は項目ごとの合計で、下図ではプロジェクトごとの合計になります。総計は全体の合計になります。小計や総計は、以下のように表示されます。
小計を表示する場合の手順は以下のとおりです。
- [小計]をクリックする。
- 小計表示の有無や表示する位置をリストから選択する。
総計を表示する場合の手順は、以下になります。
- [総計]をクリックする。
- 総計表示の有無や表示する位置をリストから選択する。
集計対象のデータを変更する
工数やコストを集計する対象データ(フィルタ対象のプロジェクトやユーザーなど)は、後から変更することができます。
操作手順
-
画面左側のツールバーに表示された対象ビュー名の右側のアイコンをクリックする。
-
「設定」を選択する。
- [ピボットビューの設定]ダイアログで[対象データ]タブを選択する。
- フィルタ対象を変更する場合は、[フィルタ対象]のリストを以下から選択する。
- ユーザー
- 組織
- プロジェクト
- プロジェクトのフォルダ
- 追加する場合は、[追加]アイコン (+) をクリックする。
削除する場合は、削除対象を選択し[削除]アイコン (-) をクリックする。
使用するフィールドを変更する
ピボットビューで使用するフィールドを追加することができます。
操作手順
- 集計対象のデータを変更する の手順1から2を実施し、[ピボットビューの設定]ダイアログを表示する。
-
[ピボットビューの設定]ダイアログで[表示フィールド]タブを選択する。
-
ビューで使用するフィールドをチェックする。
フォルダで集計する場合の注意点
フォルダの集計について
ピボット分析では、工数やコストをフォルダ(パッケージ)単位で集計することができます。プロジェクトよりも詳細な単位で集計することができ、便利に利用することができます。
下図のプロジェクトでは、第1階層をパッケージ、第2階層をタスクにして、WBSを階層化しています。
プロジェクト
:パッケージ
:タスク
下図のピボット分析では、集計単位に「フォルダ」を指定することで、パッケージごとに実績工数を集計し表示しています。 集計した実績工数が0になるパッケージ(上図の場合は「保守」のパッケージ)は表示されません。
ピボット分析
注意点
ピボット分析では、フォルダ(パッケージ)単位で集計された値は、パッケージの階層に関係なくフラットに表示されます。そのため、下図のようにパッケージの中で同じ階層にパッケージとタスクが混在している場合、ピボット分析でパッケージごとに集計するとパッケージ間の親子関係によらず同列に表示されます。
このプロジェクトでは、「01-開発」パッケージ内の同一階層にパッケージとタスクが混在しています。このプロジェクトをピボット分析でパッケージごとに集計すると、タスク(014-テスト)の工数を集計した「01-開発」パッケージと、異なる階層のパッケージ(011-A機能など)がフラットに並びます。
なお、「01-開発」パッケージで集計される実績工数は、その直下のタスク(014-テスト)のみを集計しており、同じく直下にあるパッケージ(011-機能など)の実績工数を集計しません。そのため、集計される実績工数は重複せず、「Q商品開発」プロジェクトの全体の実績工数は正しい値になります。
推奨するWBS作成方法
ピボット分析でフォルダ(パッケージ)単位で工数などを集計する場合、パッケージの階層をそろえて、それより下の階層にはタスクのみにするようにWBSを設定することをお奨めします。そうすることで、ピボット分析では同じ階層のパッケージのみが表示されて、集計内容が見やすくなります。なお、タスクの配下にタスクを設定することができます。
下記のプロジェクトでは、パッケージを第1階層のみとして、それより下の階層にはタスクのみにしています。「01-開発」パッケージの配下には、子タスクを持つ「グループA」タスクと「グループB」タスクが存在します。
プロジェクト
ピボット分析では、同じ階層のパッケージのみが表示されるため見やすく、パッケージ内のすべての工数を集計した値で表示されます。子タスクを持つ「グループA」タスクと「グループB」タスクは表示されません。